JOLEDとAERQ、中型サイズ有機ELディスプレイの航空機客室への導入に向け協業

有機ELディスプレイのエキスパートであり印刷方式で4K有機ELディスプレイを製造する株式会社JOLED(ジェイオーレッド、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石橋 義)と、航空機客室のデジタルトランスフォーメーションを推進するAERQ GmbH(本社:ドイツ、ハンブルク、マネジング・ディレクター:アルント・キカ、イ・サンス(李 相秀))は、中型サイズ有機ELディスプレイの航空機客室への導入を目指して協業します。
AERQは、航空業界に革新的技術を導入することで航空会社をデジタル化された客室体験のプレイメーカーとすべく、2019年に設立された、LG電子とLufthansa Technikによるジョイントベンチャーです。航空会社向けに、オープンITプラットフォーム、座席内システム、客室デジタルサイネージからなる航空機客室のデジタルエコシステムを提供しています。
LG電子のディスプレイ技術における知見をいかし、特に有機ELディスプレイを航空機客室内で活用していくことを目指しています。AERQはこれまでに、大型有機ELディスプレイを用いたウェルカムボードのデモンストレーションを行い、天井パネルについても開発中です。また、透明ディスプレイを用いたパーテーションのコンセプトも発表しています。これらはすべてAERQの客室デジタルサイネージの一部です。
JOLEDは、中型サイズの有機ELディスプレイの研究開発と製造に特化し、これまでに医療用モニター、プロフェッショナルモニター、車載ディスプレイ等に採用されています。新しい量産工場からの出荷開始を控え、アプリケーションの拡大に取り組んでおり、有望な用途のひとつである航空機内ディスプレイ分野の開拓を進めています。JOLEDとAERQの協業において、両社は客室デジタルサイネージや座席内システムなど、中型有機ELディスプレイを活用したさまざまなタッチポイントを提案することで、航空機業界に有機ELディスプレイのメリットを伝え、新しいスタンダードとして導入していくことを目指します。
JOLEDの執行役員・第1事業本部長 引地直人は、次のように述べています。
「JOLEDの有機ELティスプレイは、極薄、軽量でフレキシブル、広い視野角、優れた色再現性、高精細、そして無限に近いコントラスト比などの高い画質性能に加え、他にはない中型というサイズが強みです。航空機客室ディスプレイは、設置スペースや重量の制限があること、画面と比較的近い距離で一定時間閲覧されることから、有機ELディスプレイに適したアプリケーションであると考えています。AERQとの協業により、私たちの有機ELディスプレイが最先端のデジタル客室システムの一部として航空機に導入され、搭乗するお客様の機内体験の充実に貢献できることを楽しみにしています。」
AERQのマネジング・ディレクター、イ・サンス(李 相秀)氏は、次のように述べています。
「航空機に新たな付加価値をもたらす先進のデジタルエコシステムは、航空会社とお客様の結びつきをより強化することに役立つでしょう。有機ELディスプレイは、これまでの客室内ディスプレイの概念を変える可能性を持っており、私たちはこの革新的なディスプレイテクノロジーをさまざまな形で航空機内に導入すべく取り組んできました。JOLEDとの協業により、既存のLG電子の55型と65型からなる私たちの製品ポートフォリオに、JOLEDの中型ディスプレイが加わり、私たちの有機ELディスプレイのラインナップがそろいます。これにより、航空機のデジタルトランスフォーメーションをさらに一歩進めることができると確信しています。」
AERQについて
AERQは、LG電子とLufthansa Technikによるジョイントベンチャーです。2019年6月に設立され、ドイツのハンブルクに本社を構えます。コンシューマーエレクトロニクスと航空業界におけるルーツから、両親会社の広範な知見を生かして航空機客室向けのデジタルソリューションを開発しています。
AERQは航空機客室のデジタルトランスフォーメーションを新しいアイデアとビジネス開発のためのスペースとすることで、次のレベルへと導きます。AERQはソフトウェア、ハードウェア、データによって加速された航空機まわりにおける新しい種類のデジタルエコシステムを提供することで、航空会社による航空機のデジタル化をサポートします。
JOLEDについて
株式会社JOLEDは、有機ELディスプレイならびにその部品、材料、製造装置および関連製品の研究・開発、製造・販売を行う会社です。JOLEDは、印刷方式による4K有機ELディスプレイの生産を行う、世界で唯一の会社です。(2020年11月現在、JOLED調べ)
JOLEDは、有機EL ディスプレイの量産開発加速および早期事業化を目的として、ソニー株式会社、パナソニック株式会社の有機EL ディスプレイの開発部門を統合し、2015 年1 月に設立されました。2017 年、初の製品である22 型4K ディスプレイの製品出荷を開始し、現在、医療用モニター向け、プロフェッショナルモニター向け等に出荷しています。2019年11月、能美市にある、印刷方式としては世界初となる量産ラインの稼働を開始し、2020年の量産を目指しています。
印刷方式 有機ELディスプレイについて
有機ELディスプレイ(OLED)は、高コントラストでソースに忠実な色再現性や高速応答性など、自発光型ならではの高い画質特性を有しています。さらに、薄型・軽量、折り・曲げできるフレキシビリティ性などの長所を併せ持つことから、幅広い分野で新たな用途を創出する次世代ディスプレイとして注目を集めています。
有機ELディスプレイの製造方法のひとつである「印刷方式」は、有機EL材料を印刷により塗布・形成する技術で、生産工程がシンプルで多様な画面サイズに対応可能であることから、有機ELディスプレイ製造に革新をもたらす技術として期待されています。JOLEDは印刷方式に特化して研究・開発を進め、2017年、他社に先駆けて実用化にこぎつけました。